読書

限りある時間の使い方

最近読んだ本のタイトルです。

著者は英国の方ですが、帯には全米ベストセラーと記載があり、日本では今年の6月頃に発売されたようです。

私はたまたま本屋で見つけて9月頃購入していました。

奇しくもこの本を読み始めた頃に父が亡くなり、その後読み終えたのですが、
一番身近な人を突然亡くしたからこそよく理解できる内容も含まれており、感じたことを記録に残したいと思います。

タイトルだけ聞くとよくあるタイムマネジメント関連の自己啓発本のように思えますが、
時間に対する考え方が変わるような、哲学的な内容が中心となっています。

How to 本だと思って読み進めていると、冒頭から
「自分たちに与えられた時間は限られているから、やりたいこと、やるべきことが全てできるといった幻想は捨てるべき」といった内容が書かれています。

説明として挙げれらた以下の文言は特に心に残りました。

人は世界中のありったけの体験を味わい、人生を「生ききった」と感じたいと願う。ところが世界が提供してくれる体験の数は実質的に無限なので、どんなに頑張っても、人生の可能性を味わいつくしたという感覚を得ることはできない。

素晴らしい体験をすればするほど、「もっとすごい体験をしなければ」と思うようになり、結果的に無力感が増していく。

マッチングアプリはデートする相手を効率的に見つけるツールだけれど、デートできるかもしれない魅力的な相手の数が多すぎて、あまりにも多くを失った気分になる。

(特に最後の一文に関してはゲイライフを謳歌しているみなさまでも共感できる方も多いのではないでしょうか?(笑))

そのため、必要なのは全てを効率的にこなそうとすることではなく、全てをこなそうという誘惑に打ち勝つことだと言っています。

その上で限りある人生を有意義に過ごすために「時間がある」という前提を疑うことが大切だと述べています。

私たちが時間という大河の流れに抗う術はなく、進んでいく先はいつどの瞬間にやってくるかわからない死である。
でもだからこそ今という時間の大切さがわかる。海辺で大切な人と過ごす時間が特別なのはそれが永遠には続かないからだ。
故に死を受け入れて生きる態度を少しでも取り入れることができれば人生はガラリと変わって見える。

著者は「宇宙空間の無限の時間と比べてほんの4000週間である人間の寿命は短いかもしれない。それでも生まれなかった場合に比べたら4000週間もあることはかなり恵まれているではないか」と言っています。

たまたま銃乱射事件の前日に現場に居合わせた人は、「自分が生きているのはたまたまでそこに必然的な法則はなにもない」ということに気づいたそうです。
そうすると日々の暮らしはかなり違って見え、交通渋滞やレジの待ち時間、掃除したはずなのに散らかっている部屋など、どんなに不愉快なことでもそれを経験できることは奇跡的だと感じるようになったとのこと。

レジで前の人に待たされると貴重な4000週間の時間を奪われたように感じてイライラしてしまうが、
そもそもたまたま生きていてそこにいて何かを経験しているという事実の方が圧倒的に大切なのではないかと。

僕は父を事故で亡くしてから正に同じことを感じています。
父は70近い年齢でしたが、突然の事故で他界したため、32歳の自分でもいつ同じように亡くなってもおかしくないと感じるようになりました。

皮肉なことに、父の死を以ってして自分が生きているありがたみを感じるようになったことも事実です。

仕事もプライベートも自分の大切な時間をどう使うべきか、この本をきっかけに改めて考えていますが、
自分の残された人生の中で何を大切に生きていきたいかしっかり整理する時間を作りたいと思いました。

また、時間の効率的な使い方に意識を取られすぎず、今ここにいることに感謝しながら幸せを感じて生きていきたいです。

内容抜粋したところは本文の前半にも満たないのですが、今回はひとまずここまで。

後半部分に関しては機会があればまた投稿します。

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